菅原一剛著『写真がもっと好きになる。菅原一剛の写真ワークショップ。』
写真を無性に撮りたくなる撮影の心。
お気に入り度:
★★★★★この本を説明するのに、糸井重里氏の帯の言葉が一番しっくりくる。
なんども見たくなる写真。
人に欲しがられる写真。
飾っておきたくなる写真。
そういう写真を撮るために、
知っておいたほうがいいことがある。
とにかく写真を撮りたくなる本だった。
今までは、どうしたら上手く撮れるだろうと思ったとき、撮影テクニックの本を手にしていた。
だけど、読めば読むほど技術的なことに気持ちが向いて、撮っていてもなんとなく楽しくない。
そして、そんな気持ちで撮った写真は、撮ろうと思ったときのイメージがうまく写っていないので、見ていてもつまらない。
そこで見つけたのが、この本だった。
目次を見ると分かるように、撮影するときの大切な“気持ち”の写し方が書かれている。
そして撮影の技術は、その“気持ち”を写すためのものであることに気づかされる。
目次
- 第1章 カメラと一緒に歩いてみよう。
- 写真の始まりは、いつもお散歩。
- びくびくしながらも、真正面。
- 光を観るために、空を撮る。
- 何が何でも、失敗は成功のもと。
- 上を向いて歩こう。
- マジックアワーを知っていますか。
- 写真は、ひとつのドアみたいなもの。
- 一台のカメラと一緒に、旅に出よう。
- 第2章 あなたの思いは、きっと写ります。
- アングルを意識しながら、撮ってみよう。
- 目に入ったものは、全部撮ってみよう。
- ときにはフィルムを使って、大切に撮る。
- 話しかけるように撮ってみよう。
- スナップ写真はゆっくりたくさん撮ろう。
- メイ・アイ・テイク・ユア・ピクチャ?
- 第3章 ゆっくりものを見てみよう。
- ゆっくりものを見てみよう。
- ファインダーを覗かないと見えないもの。
- 写真は、決して止まっていない。
- 海に映る光は、半分の光。
- 三脚のすすめ。
- 第4章 ちょっと不思議な写真のしくみ。
- 適正露出って、何だろう。
- 写真は、けっして四角くない。
- 桜の花びらが、はらはらと散る理由。
- 光の色を意識しながら、撮ってみよう。
- 目に見える光と、目に見えない光。
- デジカメは嫌い、でもデジカメも好き。
- 写真と水の親密な関係。
- 青という色は、始まりの色。
- 黒にもいろんな“黒”がある。
- 改めてモノクロで撮ってみよう。
- 第5章 写真は、ひとつの大切な“もの”。
- 誰にでも、かならず大切な写真はある。
- きっと、偶然なんてものはない。
- すべてのものは写真とともにつながっていく。
- プリントしてみないと、わからないこと。
- 写真集を“読んで”みよう。
- 第6章 季節の光の違いを写してみよう。
- 近づいてみないと見えないもの。
- 写真のために、まわり道をしてみよう。
- 自分だけの写真集を作ってみよう。
- 紅葉の色は、光の色。
- 雲が光る瞬間を、追いかけてみよう。
- あなたの“白”は、どんな色?
- 第7章 正しいカメラとレンズの使い方。
- ほんとうに正しい、カメラの選び方。
- 写真はカメラではなくレンズが撮るもの。
- いろんなカメラ、いろんなレンズ。
- はじめてのライカ。
- 標準レンズで見える、大切な“ふつう”。
- “気配”を写す広角レンズ。
- “視点”を写す望遠レンズ。
- 第8章 ケータイだって、写真がもっと好きになる。
- 毎日持ち歩く、ケータイカメラ。
- ちょっとした工夫で写真が変わる。
- 写真がケータイを大切な“もの”にする。
- 『あかるいところは、あたたかいところ』
“気持ち”を写すための指南はとても丁寧だ。
「どんどん失敗しましょう!」というお話です。
これこそが写真の方法論の、基本のひとつのなのです。(略)
多くの場合、失敗を繰り返していく中で、
失敗しないための技を取得したり、
知識を身につけたりするわけです。(略)
実は技術の向上と同時に、失くしてしまうものもあります。
それは“思い”です。
“思い”こそが、いい写真を撮るために欠かせないと、
ぼくは考えています。
ハウツー本ばかりを見ていた自分には、やっぱり“思い”が欠けていたようだ。
こんな明確で優しい言葉に触れるにつれ、どんどん写真を写したいという気持ちが高まってくる。
カメラ選びは“何を撮りたいか”を
考えるところから、はじめよう。
新しくなくても、家にある古いカメラでもいい。
“何を撮りたいか”が、はっきりしないなら、
“持つよろこび”のあるカメラを探そう。
カメラ選びをするとき、どうしてもスペックばかりに気がいってしまう。
「お金を出す以上、少しでも性能のいいものが欲しい」
そういう気持ちが先立って、何を撮りたいか、など後回し。
だから、この言葉を読んだとき、写真よりカメラを優先していたんだと気がついた。
* * *
その他にも、ここにはハッとさせられる言葉が詰まっています。
写真を撮ることがつまらないと感じ始めたら、この本を読んでみては?
きっと、写真がもっと好きになると思います。
* * *
本書はWEBサイト『
ほぼ日刊イトイ新聞』で公開された、『写真がもっと好きになる。菅原一剛の写真ワークショップ。』を加筆、編集したもの。
現在も『
写真がもっと好きになる。菅原一剛の写真ワークショップ。|ほぼ日刊イトイ新聞』に公開されているので、興味のある人は読んでみてください。
本書の続編『写真がもっと好きになる。写真を観る編。菅原一剛の写真ワークショップ。』も含めて公開されています。