先日の記事「
Lenovo ThinkPad P14s Gen1 (第10世代インテル) 実機レビュー」で見つかった、「標準設定の『高パフォーマンス・Quadro P520有効』の場合、グラフィック周りでパフォーマンスが著しく低い」という問題の原因が分かった。
ただ今のところ問題の恒久的な対策はない。
以下に問題の概要、原因、暫定対応を記載する。
Lenovo ThinkPad P14s Gen1 (第10世代インテル) で高パフォーマンス・Quadro P520有効でグラフィックのパフォーマンスが著しく低い問題
概要
- ベンチマークテストで、標準設定の「高パフォーマンス(バッテリーアイコンのパフォーマンス設定で真ん中)・Quadro P520有効」の場合、グラフィック周りでパフォーマンスが著しく低い。
- 内蔵グラフィックのIntel UHD 620を有効にした状態よりも半分以下の性能しかでていない。
- Quadro P520有効・最も高いパフォーマンスに設定すると問題なく性能は出る。
- 高パフォーマンス、最も高いパフォーマンスどちらもQuadro P520は100%で動いている。
CINEBENCH R15測定時にGPU-Zで高パフォーマンスと最も高いパフォーマンスを比較してみると、高パフォーマンス時にはクロックが133MHzしか上がっていない。
どちらもGPUロードは100%に近いのに、高パフォーマンス時に性能がでなかったのはクロックが低いからだった。
原因
原因は「Lenovo Intelligent Thermal Solution Service」にあった。
表示名「Lenovo Intelligent Thermal Solution Service」
サービス名「LITSSVC」
実効ファイル「C:\Windows\System32\LITSSvc.exe」
タスクマネージャーの詳細タブで「電源調整」を表示させ、高パフォーマンスと最も高いパフォーマンスを比較してみると、『LITSSvc.exe』の「電源調整」が有効と無効になっているのが分かる。
サービス「LITSSVC」の状態。
高パフォーマンスと最も高いパフォーマンスのどちらでも実行中。
「電源調整」のみが有効・無効で切り替わる。
「LITSSVC」のサービスを無効にして「高パフォーマンス・Quadro P520有効」設定でCINEBENCH R15で測定したところ、OpenGL値が「最も高いパフォーマンス」時と近い値となった。
サービス「LITSSVC」の電源調整を手動で有効無効に切り替えられればいいがそのようなものはなく、また「Lenovo Intelligent Thermal Solution Service」がどういう判断でGPUクロックを低下させているかは分からないため、手の打ちようがない。
ベンチマークでは初めからGPUクロックが低いので、GPU温度ではないのは確か。
ネットで「Lenovo Intelligent Thermal Solution Service」を調べてみると、CPUが低クロックに固定されて困っているという問題が散見された。
このサービスはファンの回転数もコントロールしているようなので、サービス「LITSSVC」を無効にするのはよくないようだ。
以前のThinkPadならLenovo Vantegeからインテリジェントクーリングをオフにできたようだが、新しいモデルではオフにする機能がなくなり、「最も高いパフォーマンス」に設定するとオフになる仕様らしい。
暫定対応
現状では解決方法はなく、暫定対応というか現状の状態で使っていく方法を考える。
- 現状のままで使う。
高パフォーマンスでの通常使用ではQuadoro P520が動作する機会は少なく、普段はIntel UHD 620が動いているので、Quadoro P520を使う時だけ「最も高いパフォーマンス」に切り替える。(有力候補)
- 通常はQuadoro P520のドライバーをデバイスマネージャーで無効にし、高パフォーマンス・Intel UHD 620で使用。パフォーマンスが必要な処理をする場合は最も高いパフォーマンス・Quadoro P520有効に切り替える。
- 常に最も高いパフォーマンス・Quadoro P520有効で使用する。
CPUクロック・CPU温度が高めになるのが難点。
- 「ヤマトバクネツオー」を使う。
このアプリは登録したアプリの起動中は「Lenovo Intelligent Thermal Solution Service」を無効化するソフト。
現状でドライバー更新やWindows Updateで直る可能性は低いため、電源設定が変更されているWindows11を試してみるのもいいかもしれない。